道草ノスゝメ

ゲームの記録

【Chants of Sennaar】多言語の冒険

任天堂さんの「Indie World」で動画を見てから気になっていましたが、PSでセール対象になっていたのでそちらで購入しました(任天堂さん、すまん)。

未知の文字を解読しながら物語を進めていくという、ジャンルでいうとパズル・アドベンチャーでしょうか。
バベルの塔からアイデアを得たとのことで、作品中にはそれぞれ違う言語を使う複数の民族が登場します。

棺のような箱から目覚めた主人公(プレイヤー)は、見慣れない文字に遭遇し、ある動作を行うことでその文字の意味を推測します。主人公が所持するメモ帳には絵が描かれており、その絵に合致する文字を埋め込むことで意味を理解していきます。
(以下多少ネタバレを含みますので、これからプレイする方はご注意ください)

 

上へ上へ・・・の冒険が始まる

1層:キーワードは「神」

最初に足を踏み入れた世界は塔の最下層です。
それぞれの階層に住む人々と言葉を交わし、文字を解読しながら上へ上へと進んでいくわけですが、同じ意味でも使っている文字は階層(民族)ごとに全く異なります。


壁画の下にも文字が

黄色いフィルターが掛かったような最初の世界は、何かの宗教を連想させるものがたくさんあり、それも文字解読のヒントになります。
ひとつの文字が判明したら、残りの文字もメモ帳の絵や文脈からあたりを付けていきますが、見開きページの全ての文字が解読された時はとても心地良い爽快感がありました。

この世界から上の階層に行く扉がありますが、その扉の前には別の民族が立ち塞がり、通行を禁じています。
プレイヤーは彼らの代わりに秘密の部屋を抜け、こっそりと上階に行くことになります。

 

2層:キーワードは「使命」


一文字で何かを意味している?

青と赤の世界です。下の階の大きな扉の前での声色からも何となく分かりますが、軍隊を連想させる人々です。
使われている文字も直線で構成されているものが多く、全体的に固いイメージがあります。

プレイヤーはこの世界にこっそり忍び込んだことから分かるように、前半はステルス場面が多くなっています。ある場所で変装が成功した後は自由に動けるようになりますが、間違った格好をすると速攻で捕まります(笑)。

厳つい雰囲気の彼らですが、実は意外にもある芸術が好きなので、とあるアクションを起こすとイベント会場が爆誕するという微笑ましいシーンが出てきます。

彼らの使命を行使することにより、上層に行く道が開きます。

 

3層:キーワードは「自由」


ちょっと何言ってるか分からない

南国の雰囲気が漂うこの世界の人々は心なしかおっとりしている印象がありましたが、文字の解読が進むと、何となく高飛車で上から目線の物言いをしていることが分かってきました。
上層へ行く目的がある主人公(プレイヤー)は、そんな彼らから小馬鹿にした言葉を浴びせられます。

実はピンクや緑、黄色といったカラフルな地上の下には、複雑な地下通路が張り巡らされており、奴隷階級と思われる人が働いています。優雅で自由な生活を楽しむ人とは対照的に、地下では自由を渇望する人も暮らしていました。

小馬鹿にされつつも上に行かないと話が進まないので(笑)、薄暗い迷路を抜け、次の世界に足を踏み入れます。

ちなみに、文字の複雑さに加えてこの世界の文法はかなり苦戦しました。言い回しというか…得意な人はうまく文章に繋げられるかもしれません。

 

4層:キーワードは「化学」


不思議な形のフラスコが見えます

マゼンダ系のフィルターが掛かったようなこの世界は、丸や三角など図形を組み合わせた文字が多く、下層では見られなかった数字の概念も存在しています。
実験施設のような場所もあることから、何かの研究をしていることが分かります。他の世界と同様に文字は複雑ですが、場所を表すものなどは比較的容易に推測することが出来ます。
また、ここまで進めると下層世界も含め、それぞれの文字の構成に法則のようなものがあることに気付きます。

中の人はノートに書き写してみましたが、実際に書いてみると曲線やパーツの位置など、バランスよく書くのが意外と難しかったです。

 

最上層:キーワードは「つながり」


雨も降っていて寒々しい

マゼンダの世界から一転、塔の一番上は暗い紫色の世界でした。
ここでも文字の解読をしていくことになりますが、その方法が少し変わってきます。
メモ帳にも絵は描かれるので、今までと同じようにその絵から推測出来るものもありますが、どちらかというと学んできた文字の集大成という感じになります。
そして終盤では塔の最下層の棺から出てきた主人公の正体も判明します。

 

人々は異国の人々を恐れて口をつぐむ

最上階で待っていた人は、塔の謎の全てを教えてくれました。
そして彼は主人公にある願いを託します。
各世界には秘密の部屋のような場所に設置されている装置があります。
その役割は

1.各世界間の移動(どこでもドア)
2.各世界の繋がりを確認するモデル
3.各世界の人々の通訳

の3つです。
この中で重要なのが3の通訳機能です。ひとつの世界の文字を解読しただけでは訳せないので、必然的に相手の世界の文字も解読しておかないといけません。
(実はこれを無視しても物語自体は進めることが出来ます)


双方の文字を理解しないと訳せない

ストーリーを深読みする

バベルの塔になぞらえると、最上階の人々は最下層の民たちが言うところの「神」に当たると思われますが、あくまでも「アイデアを得た」とのことなので、この塔に住まう人々は全て「人間」なのだと思います。

エンディング(真)を見た後は、ほっこりした気持ちになったのもありますが、現実世界で連日報道される人間同士の諍いや他国の紛争のことも考えさせられました。
「Chants of Sennaar」のように、みんながそれぞれ自分の得意分野を生かして誰かを助けることが出来たら、孤独で寂しく思っている人も少しは減るかもしれません。

テーマは少々重たい感じが否めませんが、グラフィック、音楽共に素晴らしかったです。
『風ノ旅ビト』や『モニュメントバレー』が好きな方は、雰囲気が似ているので楽しめるかと思います。

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